24歳インドアオタクが旅行趣味に目覚めた理由

どうも。

 

最近キムチにハマっている24歳一般男性です。

料理する気分にならずコンビニ弁当食べる時、キムチを添えてると「野菜食ってる自分偉い」気分に浸れるのでキムチ優秀。ついでのように疲労回復効果もあるしでキムチ先輩には頭が上がらない。個人的には牛角のキムチが辛すぎず酸っぱすぎずで好き。

 

さてタイトルの件、ここ1、2ヶ月で旅行に行く頻度が爆上がりしている。具体的に、島根や岐阜、関西圏等西日本中心、最近は東北出張後の休日に青森へ行ったりと1〜2週間に1回程度国内をフラフラしている。旅行ガチ勢からすると恐らく大した頻度ではないが、旅行に目覚める前の自分からすると驚異的な頻度だ。

 

こうコロナ感染が爆発している中大きな声で言える話ではないけれど、日常的に在宅勤務実施、3蜜の回避等感染予防に細心の注意を払ってはいる。何より毎回一人旅なので濃厚接触の機会がない。(血の涙)

 

元々人混みが苦手で人酔いしたり、身体動かすのがめちゃくちゃ好きな訳でもなかったりと出不精なインドア人間の為、今より時間的制約の少なかった大学生時代でも年一回無理矢理旅行に連れて行かれる程度だった。

 

そんな私がこんなタイミングで旅行に目覚めてしまった理由を大きく3つほどまとめてみた。

 

①車移動が楽しい!&気楽!

とりあえずドライブ好きなんですよね、自分。アクセル踏んだら進む、ハンドル切ったら曲がるっていう機械操作してる感が楽しい。(小学生並の感想)

今年3月部活時代の先輩から車を貰ったこともあり、その頃から仕事後当てもなくドライブに出たりしていたのですが、どっか目的地作ってドライブするかってなったのが今年最初の旅行のキッカケだったりする。

 

後大事なのが移動時の気楽さ。車内は外部からの刺激がほぼ遮断されるので実質家。だからインドア人間でも家のドアを開いた瞬間旅先にいる様な気持ちで旅行することができる。好きな曲を垂れ流しながらリラックスした状態で移動するので、運転疲れを加味しても圧倒的に楽。

また好きなタイミングでの出発や休憩を決められるのも楽である為、旅行に行くまでの準備のハードルが自分の中で大きく下がった。

 

一方で新幹線や飛行機の移動が伴う旅行はやっぱり面倒であり、そういった場所への旅行も実際殆どしていない。周囲の人とか気になってリラックスできないんだよなぁ。

出発時間等々綿密に調べておかないといけないのも手間っちゃあ手間。車だったら目的地までの時間と滞在時間を大まかに設定するだけだから甘えてしまう。

 

②壮大な景色が癒し!

旅行にのめり込んでる1番の理由は多分これ。旅行に癒しを求めてるから。

 

自分が行きたくなる場所は大抵「大自然の生んだ奇跡」みたいなキャッチコピーがつくところか、自然と人の生活が調和したようなところ。

勿論立派な建造物とかにも惹かれることは多々あるけれど、旅先で自然の壮大な力を感じる時が一番の快感。そういう意味で、自然と人の生活が調和している場所=人々が自然の力に負けないよう生きてる場所なので相対的に自然のパワーを感じられて好きなんじゃないでしょうか。白川郷とかは正にそんな感じだった。

 

因みに、壮大な自然を見て癒しだと感じる理由は自然の力の大きさに圧倒されて心が洗われるから。

 

これは人気漫画「銀魂」に登場する長谷川さんの台詞の影響を受けている様に思う。

 

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お前らは何か落ち込んだ時、どうやって気を静める? 人間ってのはその立ち直り方で二種類に大別できるんだ。 一つ目は、自分よりも卑小なもんを見て、俺ァまだマシだと慰める奴。 二つ目は、じぶんより大きなもんを見てちんけな自分ごと何処かへすっ飛ばしちまう奴。(銀魂5巻第三十二訓 海の水がなぜしょっぱいかだと?オメーら都会人が泳ぎながら用足してくからだろーがぁぁ‼︎ より)

 

このシーン自体は長谷川さんがカッコ良く語る中、万事屋メンバー海で遊んでるっていうネタシーンですが、台詞の良さから未だ記憶に残っている言葉。

そして相変わらず各話タイトルの癖が強い。

 

自分はこれで言うところの自身より大きなものを見て全部すっ飛ばすタイプなのだろう。実際、壮大な自然の中にいると自分の悩みや存在はすごく小さなものに感じられ、背伸びして生きる必要ないんだなと気付く。結果としてストレスが解消、癒しに感じられる。

 

③カメラに景色を残したい!

前回の記事でも言っていた通り、10月元部活の先輩(車くれた人とは別人)の口車に乗せられたっかいカメラを購入するイベントが発生。元々旅行するならついでにカメラで風景撮影したいと思っていた節もあったので後悔はしていない。30万円は財布に厳しすぎたが。

 

そんな風に旅行のついでで考えていたカメラ、扱いが難しく戸惑いつつも奥深さが分かってくると非常に面白い。写真の話題で1記事書けるレベル。

そうなってくるとやはり良い写真を撮りたいもので、綺麗な景色をカメラに収めたい、良い写真を撮りたいへ目的が変わりつつある。目的と手段が入れ替わり迷走する典型的なパターンなのだが、とりあえず旅行に対するフットワークの軽さを後押ししている要素には間違いないので……。

 

 

 

最後纏めてみた結果について、何気に色んな要素が絡み合っているなと感じる。車一つとっても、先輩から車を譲り受けることがなければ今もペーパードライバー状態で旅行なぞもっての外だったはず。(去年入社時の運転テストは100点中30点)

 

後は、旅行趣味に目覚めた=アウトドアに目覚めたではないということ。自分にとって自動車内=自宅なので、駐車場→目的地=自宅→徒歩10分のコンビニくらいの感覚で旅行している。登山とかキャンプとかはまた心の準備が必要だなぁ。興味はあるけども。

 

結論出不精な根っこは変わらず、金のかかる趣味が増えただけのこと。

とりあえず1年前鬱々としてた頃からは変われたのでヨシ!

 

ではでは。

VTuberにハマった話。

私にとってVTuberとは?

バーチャルYouTuberのイラスト

どうも。

 

プライベートが充実しすぎてブログ更新を忘れていた24歳成人男性です。

白川郷聖地巡礼したり30万円のカメラ買って撮影に行ったりするくらいは充実している。(1人で) 

 

コロナの影響でYouTubeと友達になった人は非常に多いと思います。

私もまたYouTubeと親友になったのですが、そこで視聴するようになったのがタイトルの件、”VTuber”だったという訳です。

 

VTuber”と聞いた時、普通の人であれば「キズナアイが有名」、「もうブームは過ぎてる」といったイメージが出てくるのではないでしょうか。

 実際のところ”VTuber”界隈は演者、ファン共に増加傾向で勢い付いており非常に熱い界隈といっても過言ではない、のかもしれない。

 

せっかくなので私のハマったきっかけからその魅力まで、備忘録として残していきたいと思います。

 

VTuberとは

VTuberとは、バーチャルYouTubeの略。名前の通りバーチャルのキャラクターを中の人が演じることで、動画投稿・YouTube活動を行っています。彼らが始めて現れたのは2016年からだが、2020年VTuber人口は1万人をゆうに超えており、外国人視聴者の急増、外国人VTuberが登場するなどその勢いは海外まで波及しているほど。

また最近のトレンドとして、現実世界の著名人がVTuberに参入する流れが出来ている。個人的に熱かったのは同人作家のクリムゾン先生、伊東ライフ先生等。

 

VTuberを知ってハマるまで

初めてVを知ったのは遡ること2年以上前、2018年3月ごろだったと記憶しています。人狼ジャッジメントというスマホゲームでVTuber界隈の語録を使う人とマッチングした際、言葉の意味が分からずネットで用語を調べながらプレイしたことがVTuberの動画を視聴するキッカケ

だったと思う。今思えばとんだ害悪プレーヤーだが それでファンが増えたのならと思うと害悪プレイもしてみるものだ。(すんな)

その時知ったVTuberをコロナ前までたまーに視聴していた程度だったが、コロナ期間でやることもなく、気付いたら色んなVTuberを定期的に視聴しないと何も手につかない身体となっていました。

 

VTuberの魅力について

私が勝手に魅力だと感じている点を3つほど挙げてみます。 

 

①ヲタクコンテンツに精通しているVTuberが非常に多い点

バーチャルのキャラクターを演じるVTuberの特性上ヲタク率が高いのはそこまで違和感無いですが、それにしても高い。

そして彼らがするアニメ、ゲーム、ボカロ等の話を「あー分かる」と思いながら聞いていると、親近感がいつの間にか沸いてしまうのだ。特に私はリアルのヲタク友達が少ないこともあり、すっかりVTuberに依存してしまっているように思う。

VTuberと一口に言ってもアニメ知識が途方もないVTuberネットスラングを極めるVTuber、腐りきったVTuberと様々なVTuberが存在しておりVTuberの数だけ沼がある為、気付いたら複数の沼に捕まっていたりします。

 

②生配信が主体である点

リアルのYouTuberは現実世界で撮影したものを編集し1本の動画に纏めるが、VTuberライブ配信を主な活動とすることがほとんどである。VTuberとして動画を作るとなるとキャラから背景まで全て作成する必要があり、動画1本あたりのコストが高くなってしまうのが1番の理由だろう。

しかし、配信形式が動画形式に劣るかというと存外そうでもない。例えば配信形式のメリットには視聴者とリアルタイムで絡めることがある。視聴者はコメントにVTuberが反応してくれる喜びが得られる、配信者は視聴者のユニークなコメントで配信が盛り上がることもあることからWIN WINの関係を築いている。

ゲーム実況中視聴者に嘘をつかれて死亡するVTuberもいたりするけど、それはそれで良い関係なのでOK。

 

個人的にはドライブ中適当に垂れ流しながら聞けるのも配信形式の良さだったりする。

 

③応援したくなる点

①で記載したとおりVTuberはヲタク気質の人が多いことから、素は大人しめな性格である場合が多い。ライブ配信という形式上、VTuberは1人で喋りっぱなしの動画が多く一見すると明るい人ばかりに見えるが、配信時のトーク内容や複数人でのライブ配信時の様子から素の部分(大人しめな部分)が見え隠れしていたりする。そういった部分を出しつつ日々VTuberとして健気に活動する彼らを見ると、同類の私としても応援せずにはいられず、今日も2台のiPhoneVTuberを眺めている。

 

 ○個人的に好きな動画達

VTuberの好きな動画というとキリがないのだが、特に好きなものを置いておこうと思う。

 

・清楚委員長系VTuber月ノ美兎

私が初めて見たVTuber。動画は過去彼女が配信した動画の中でも選りすぐりの場面が切り抜かれて纏められたシリーズの1つである。

 

・天才ピエロTVuberジョー・力一(リキイチ)

VTuberは諸々の事情で全体的にトーク力が高いのだが、その中でも一際高いトーク力を持つ男。VTuber事務所のオーディションに受かった話が好きすぎる。

 

・17歳設定だが晩酌配信に定評のある海賊系VTuber宝鐘マリン

最近マイブームのVTuber。初配信にしてワザップ光彦(ワザップジョルノの派生)を披露する頭のネジが飛んだ動画。(11分0秒~)

 

・御曹司系VTuber卯月コウ

ネタに振り切れまくってて見ていると元気をもらえる。こちらも厳選シーンを纏めた動画。

 

○最後に

とある有名なVTuberが、彼女自身の過去の自己紹介動画を視聴した際残した言葉がある。

「不思議と恥ずかしいという感情が湧いてこない、何故なら頑張っているから」

この言葉は私の胸に深く刺さり、今尚支えてくれているように思う。

 

私は過去の失敗経験が突然フラッシュバックしてきて憂鬱な気分になることが定期的にある。これまでであれば枕に顔をうずめて声を出すのが一般的な対処だったが、上記の言葉を思い出すことでフラッシュバックのストレスが軽減されるようになったのだ。そして上記の言葉は私以外のファンにも刺さっていて、発言のあった動画には似たような感想のコメントが散見される。

 

私にとってVTuberとは大人しい人種の友人であり、陰キャにとって苦しい世界で共に生きる仲間である。そして彼らの全力で頑張る姿勢は多くのヲタクの心に刺さり、支えになっているのだと思う。私もまた彼らの生き様を胸に、将来24歳の時を振り返って恥ずかしくない程度に頑張って生きるかと決意したところで記事の結びとさせて頂く。

 

ではでは。

【読書感想文】後輩の新刊を読んだ件

どうも。

 

毎度お馴染み部活時代の後輩Tがコロナで大変な中、5冊目の同人本を出したとのこと。

Tの本を約4冊所有しているファンとして買わない選択はない、ということでネット通販にて購入。

 

マジカル・シュガー・ファクトリー - 有色リトマス - BOOTH

 

無論届いた当日に読んだ訳だが、相変わらずの素晴らしいクオリティだったので全世界へ感想を発信するに至った。

 

◯元ネタ

前回感想を書いた作品と同じくアニメ「KING OF PRISM Shiny Seven Stars」が原作。

 

【読書感想文】後輩の同人本を読んだ件 - gohan’s diary

 

今回はその中でもアプリゲーム「KING OF PRISM プリズムラッシュ!LIVE」内イベント『魔法学園物語〜寮対抗杯!スリー・スペクトル〜』を基にした作品となっている。

 

イベント内では最上級生がメインの話だったが、イベント時の設定を活かしたカジガリ(カケタイ)のやり取りが非常に秀逸。自分もTのスマホを借りイベントストーリーを見せてもらったのだが、不意に普段と違う様子を出してくるタイガへ思わずニヤけてしまった。ヲタクが歓喜して本を出したくなるのも納得のストーリーである。

 

◯あらすじ

ゲルキャッシュ寮にて寝所を共にするタイガとカケル。カケルの部屋で甘い日々を過ごすようになって一年以上が経過していた。順調に見えた日々だがタイガは甘さにかまけ気の緩んだ不安定な状況で変身魔法を繰り返した結果、トラの魔法生物であるトラチが爆誕してしまう。

トラチを受け入れ実の子どものように可愛がる2人だが、カケルとの時間を奪われトラチへ嫉妬するタイガ。トラチが現れて1週間経った昼休み、思わず本心を零して甘えるタイガとその素直すぎる態度にオーバードーズするカケル。カケルの愛がトラチとタイガを包み平和な時間が過ぎていく。

3人での生活がすっかり定着したある日の朝、相変わらず変身魔法が安定しないタイガは目が覚めるとトラの耳と尻尾が生え半獣化してしまっていた。留まるところを知らない2人の甘い時間が、始まる。

 

◯感想

今回は健全に全年齢向けエロ本。

いつもよりかは物語のボリュームが少ない為、軽くお菓子を摘むくらいの感覚で読み始めたのだが思いの外濃厚で驚いた。例えるならガトーショコラやパウンドケーキといった、気軽にいけるけど思いの外食べ応えがあり気付いたらお腹いっぱいになっている類のお菓子を食べたような読後感。

 

とりあえず話が甘すぎてオーバードーズ、思わず自転車で淀川まで走ってしまった。(蜜じゃないからセーフ理論)

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自分のキャパシティを超えることにぶち当たった時圧倒的に大きなものを見て心を落ち着かせたくなる感覚、あると思います。

 

全体へ感じたこととして、これまでの作品のリアル路線からは大きく離れたファンタジー路線ということ。元々が魔法学園というファンタジーな世界観であることに加え、世界観をしゃぶりつくす為想像の余地がある設定はとことん拡大解釈している。その結果冒頭から末尾までトッポのように甘々な内容となっている。トラチの爆誕設定は「そういう風に登場するのかぁ」と感心し、タイガの豹変っぷりには「素直すぎひんか!?」と思わず突っ込んでしまうほど入り込んでしまった。

その一方で、原作設定を守るところは守る絶妙なバランス感覚が流石だった。カケルの水魔法で檻を作る部分、実際にアプリの中で行っていた気がする。気のせいだったら知らん。またトラチのタレ目がタイガと共通していること、しめ縄をタイガが好みそうなことには気付いてなかったのでググりにいってしまった。原作設定を踏まえるヲタクしてくれることで、ファンタジー世界であってもリアルな想像を湧き立たせてくれた。

 

↓↓↓↓以下個別感想↓↓↓↓

 

・表紙

本文が甘ければ表紙まで甘い、そんな表紙となっている。T曰く印刷会社のオプションでデザインを依頼したら可愛すぎてひっくり返ったとのこと。かわいいもの×かわいいもの=すごくかわいい。

個人的に好きなのが表紙の手触り。リボン包装されたかのような感触で、サイズ感も相まってずっと手に取っていたくなる触り心地となっている。

 

・遊び紙

鮮やかなピンクと砂糖をまぶしたように輝くラメが絶妙にコラボしており、この作品の突き抜けた甘々っぷりを強く象徴している。初見時は表紙を開いた瞬間に引き込まれ、暫く見惚れてしまった。

紙が分厚過ぎず、頑張れば扉のタイトル文字が透けて見えるのも二度美味しい。

 

・ツッコミについて

トラチ爆誕時、トラチと見事な掛け合いを披露するタイガ。実際にありそうなやり取りで好きな場面。トラチトラは確かにややこしい。

更にトラチが暖を取りたかったのではという天然ボケからノリツッコミまで披露するタイガ。アホ可愛い。隠しきれないTの関西人センスが光るワンシーンとなった。

 

・素直すぎるタイガ

タイガといえば頑固で直情的で不器用で。そんな彼だからこそ多くのファンを魅了しているわけだが、素直になってしまったらそれ何て萌えキャラ???となるのは当然ではないだろうか。

 

カップルするタイガ、甘えと信頼が込められた笑みをするタイガ、敬語でおねだりするタイガ、この世界線でしか見られない姿がとことん描写されていてやはりニヤけずにはいられない。

 

カケルの様子を伺いながら甘えるタイガは素直を通り越してあざとささえある。Tの思ってる3000倍は甘々なので読み手の身になって頂きたい。

 

・特別なカケタイ

前述の通り、素直すぎるタイガの破壊力は計り知れずカケルがオーバードーズするのも当然である。一方でこの世界線はタイガの素直さを受けカケルの態度も変化している様に感じられた。

 

自分の中でカケルといえば、タイガを茶化したり焦らしたりしつつ牙を剥く(?)イメージである。がしかし、素直なタイガの前では焦らすというよりひたすら甘くどこまでも甘やかすカケルになっていた。この魔法学園ストーリー、甘々なバカップルのカケタイを愛でられる特別な世界線なのでは、とまで感じられる。

 

とりあえず甘いバカップルぶりと随所に散りばめられた甘い比喩表現とが相まって無事オーバードーズしました。

 

・トラチの可愛さ

泣くトラチ、はしゃぐトラチ、誇らしげなトラチ、食べ物を追いかけるトラチ、トラチが登場する度にほっこりした気分にさせられる。ただでさえ甘い物語の甘々っぷりに拍車をかけている。トラチ単体で可愛いのにバカップルカケタイと絡んで可愛くない筈がない。かわいいもの×かわいいもの=すごくかわいい。

 

キンプリ歴の浅い自分にとってトラチ=ベストテンというイメージだが、ベストテンを何度も見に行った甲斐あってカジガリ×トラチを鮮明にイメージすることが出来た。

 

・タイガ半獣化

これを起承転結の結に持ってくるのがエロい。卑猥な意味ではなく。

 

この作品全体的に漂っているのが、Tの考えた最強のカジガリを読者へ披露しているかのような雰囲気なのだが、その中でも最も強く自慢のカジガリみを放っているシーンがこの半獣化場面。まさに「ぼくのかんがえたさいきょうのかじがり」。

 

だって尻尾とか耳とか確実に敏感なやつですやん。

ストリート系とのギャップもハンパない。

エロ本らしさを最後の最後で発揮し、私たち読者を甘い余韻に浸らせてくれる。オーバードーズ不可避。

 

タイガ半獣化を書きたいが為にこの作品が生まれたのでは、とまで思わされるシーン。文章を通じTのドヤ顔が透けて見えてくる。

 

・雲丹と栗(ずっと真夜中でいいのに。)

昔の同人BLはイメージソングが設定されているとのことで、腐女子歴が長いTもその文化を毎度踏襲している。今回は珍しく知ってる曲がイメージソングだったので読み終わって聴いてみたのだが。

 

めちゃくちゃ良かった…

 

元々知ってるはずの曲がトラチとタイガのための別の曲に聞こえた。読後に聴いた為かEDのように感じられ、夕暮れ時川沿いを歩く1人と1匹のイメージが胸に染み渡った。古の腐女子のセンスが良すぎる。これまでの分も聴きます。猛省。

 

・その他雑記

本文とは何の関係もない感想なのだが。

同性カップルで同居しても問題ない学校、素晴らしいなと。

自分の母校では同性カップルが校舎内でみだらな行為した結果、退学になったという事例があった。魔法学園はそんな規則に縛られないしペットも飼える。これぞプリズムの煌めき。フリーダム。

 

◯おわりに

これまでのTの作品と路線が違い過ぎたあまり、無意識のうちに過去作品と比較するような感想となってしまった。これまでの作品であれば、原作設定や現実世界へ忠実な世界でのカケタイを、時にはブラック、時には切なく振り切れた物語となっていた。しかし今回はファンタジーな世界観に加えて設定等キャラが崩壊しないギリギリまで非現実路線なカケタイがひたすら甘い方向に振り切れた物語である。

 

ここに共通してくるのが振り切れた物語という点。これまでの作品を振り返ると、儚い恋、ディストピア、メリバ、魔法学園と見事に一貫性がなく只の情緒不安定な人なのだが。そのどれもが突き詰められていて、濃密で、振り切れっぷりがTの持ち味だと考える。

 

元々Tの本を購入した時、後輩が何か面白いことしてるなくらいの軽い気持ちで再販版を購入したのだが、その作品の振り切れっぷりに見事に引き込まれてしまうこととなった。他のブログ記事にもある通り、最近色んな本を読むようになったがここまで振り切れてる物語、切り込んでくる文章はないとまで思える。

 

後輩Tにとって、「KING OF PRISM 」というコンテンツとしても、コロナの影響としても先行きが不安な状況であることは明白だが。Tの振り切れっぷりはどこへ向かうのか、行先を見届けるべく活動を応援していきたいと思わせてくれるようなTの魅力溢れる一冊だった。

 

ではでは。

社会人になって1年が経った。

 


どうも。

 

日々社会の荒波に揉まれているサラリーマン2年生です。

19年4月に入社して約1年が経過した訳ですが、この1年は濃密すぎて「まだ1年しか経ってないマジ????」という気持ちでしかない。

ただ一つの節目として、いい機会なので2019年度を振り返ってみます。

 

目次

  1. 今年の流れ
  2. 心に残る失敗経験
  3. 意識してきたこと
  4. 社会人の大変さとは
  5. 次の1年の心構え
  6. おわりに

 

1.今年の流れ

まずは今年1年どんなことをしてきたか。表でまとめてみた。(エクセルと親友になった男の末路)

  

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・研修について(4〜5月)

内容:工場研修、会社・部署説明、マナー講座、エクセルパワポ研修

 

メーカー勤務の新卒であれば、誰でも経験するであろうイベントが工場研修。企業秘密に触れたらマズイので詳しくは書けないが3交代(8時間ごとに人員が交代することで24時間工場を稼働させる勤務体系)を経験できるだけで良い機会だった。工場勤務はすごい。

それ以外の研修はおそらくどこの会社でも良くある内容。その中でインパクトのあった研修は植樹活動。会社のCSR活動の一環だったが、移動と植樹で1日が終わり研修とは何なのか考えさせてくれた。植樹で給料貰えるなら一生植樹していたい。

印象的だったのは研修時の独特な雰囲気。植樹活動だったり偉い人の講話だったりとそれはそれで良い経験なのだが、配属後のことを考えると心がざわつくまるでドナドナされるのを待つ子牛のような気持ちの2ヶ月だった。

新入社員全員同じ部屋で研修を行なっており、同期との絆を深めるべき期間だったのだがそこはお察しください。

 

・本配属について(6〜10月中旬)

内容:比較的簡単な業務(大嘘)

 

新人として現在の部署のチームに配属されたのは10年ぶりかそれ以上。待望の新人といえば歓迎されているように聞こえるが、それだけ新人が入っていない=教育ノウハウが確立されていないということ。

適当にそれっぽい仕事を振られていた訳だが、7月から先輩社員が部署異動になり先輩のしていた仕事を引き継ぐことに。

この仕事がきつかった。

詳しく書くとそれだけで記事一つ出来るので省くが、給食費を毎月払う仕組みから毎食払う仕組みに変えるみたいな感じ。一言で言うなら手間。今やれと言われても憤死するレベル。

キチンとした教育も引き継ぎもなく曖昧な理解で仕事をした結果大きな失敗を何度もしてしまった。(後述)

 

辞めたいとまで思うことはなかったものの、毎日帰宅と同時に寝てしまうほど疲弊しており仕事面においてかなりキツい時期だった。

 

・現場実習について(10〜12月)

内容:乗用車、トラックバスの冬用タイヤ交換

 

タイヤメーカーはタイヤ販売専門の子会社が全国にある。冬場の降雪地帯はタイヤ交換で忙しくなる為新人は研修という名目の元手伝いに行かされる。

自分も例に漏れず東北へ約2ヶ月派遣されることとなった。

派遣期間中当時付き合っていた彼女に振られる、レンタカーで事故りそうになる等ハプニングもあったが、タイヤを交換する機会なんて滅多になく自分の会社を知る上で非常に学びの多い期間となった。

余談だが消防車やパトカーのタイヤ交換をすることも。男心がくすぐられた。

 

現地の人と仲良くなったり、休日を使って東北全県を巡ったりと忙しくも充実した日々だった。東北の空気が恋しい。

 

・部署での業務について(1〜3月)

内容:本格的な業務(会議資料作成、報告、取引先とのやり取り、販売店とのやり取り、カタログ作成)

 

これといった代表的な業務はない。業務の幅が非常に広い!

各業務の責任は大きいが一年目から大きな仕事を任せてもらえるので、慣れてきてようやくやりがいを感じられるように。

1年の中で最も仕事が楽しい期間となった。

 

2.失敗経験

前述の通り、6-9月は仕事上での失敗が多く思い出すと胸が苦しくなるのだが、自分への戒めとしてここに記す。

 

・文章の失敗

現部署では研修の一環として配属後2週間日報を作成する。一日行ったこと、学んだこと、所感を記載して先輩社員が添削、部署の人へ展開する流れなのだが、苦戦を強いられたのが所感欄。このブログのどこかで書いた通り自分にとって感じたことを言葉にすることが非常に苦手で、当時も日々所感を捻り出しながら作成していた。ただ、大学のレポート等で悪い点数を取ったことはなく文章作成スキル自体は普通レベルと思っていたのだが、先輩社員から「文章作成苦手でしょ」、部長から「文章が稚拙」と言われ、課長からは8月になって「日報改めてやろう」と言われ、メンタルに大きなダメージを負うこととなった。

その後指摘されたこと(ビッグワードを使わない、事実と感じたことを分けて書く等)を徹底的に直し、注意されることは無事皆無となった。

 

・社内文書作成時の失敗

8月頃のこと。先輩が作成した社内文書を自分名義で社内展開する為、部長から書類確認、承認してもらうことがあった。

その確認時部長から質問されたのだが、分からないことを分からないままに答えてしまうことがあった。(先輩が作ったんだから合ってるだろうという甘え+先輩が出張でバタバタしていて聞きにくかった)

結果としてその部分が間違っており、部長自ら文書を訂正して展開し直すことに。部長の面子を潰してしまう大失敗となってしまった。

 

・他会社の人とのやり取りでの失敗

自分のチームはタイヤ販売会社の人とやり取りすることが非常に多いのだが、そのやり取りの中で相手を激怒させたことがあった。

現場実習直前の9月末。配属当初はビクビクしながら行なっていたやり取りに慣れてきた頃のことだった。現場の状況について確認する為電話した際、尋ね方が悪くしこたま怒られることとなった。

決して舐めた口の聞き方をしたつもりはなかったが、その日あった会議の報告が上手くいったことで気持ちの緩みがあったのか、上から目線な聞き方になってしまった。本当に甘かったなぁ〜自分。

車の運転は慣れ始めが一番危険なように、仕事も慣れ始めが一番危ない。

 

3.心掛けたこと

上記以外にも何度も失敗を経験した自分であるが、失敗を乗り越え学んだことを日々意識してきたので、今更だけど言葉にしてみる。

 

◯分からないことは聞く

色んな先輩から常々言われ、上記の失敗も相まってこの一年最も強く意識したことではないだろうか。

 

非常に当たり前のことなのだが、何となくの理解でいるのと腹落ちするまで質問するのとでは失敗の可能性も変わるし知識の蓄積にも繋がってくる。例え、先輩がどんなに忙しそうにしてても気にすることなく聞くべきであり、そこで邪険にする先輩がいたら先輩サイドに問題がある。また、先輩という生き物は後輩に頼られると嬉しくなるものなので関係を深めるためにも質問はするべき。

これが3年目4年目となってくると「そんなんも知らんのか」となりたくないから質問しにくくなってくる。質問は1年目の特権だ。

 

◯どんなに小さなことでも言われた仕事にプラスαを加える

これもまた失敗経験なのだが、先輩から言われたままに作った書類を課長に見せた際、図や文章の意図を答えられず全NGを食らったことがあった。

 

先輩と上司とでは考え方が違う分こうなる事は当然あるのだが、当時の自分は、「先輩に言われた通りやったのに何故ダメなのか」という考えだった。今考えてみると主体性のカケラもない。結局先輩から言われたままの仕事では自身の意図がなく、自分の言葉で人に説明することもままならないので良い仕事には結びつかない。何事も自分ごとに捉え、指摘事項に自分ならこうするというプラスαを加えていくことで資料なりプレゼンなりブラッシュアップされていくのである。

 

その事に気付いてからは全NGをもらう事もなくなり、ある程度上手く仕事が回る様になっていった。

 

◯過去の知識を蓄える

これは自分が何となくしていたら上手くいったこと。

業務の隙間時間等使い、気になった過去の資料を定期的に漁っていたのだが、それが顧客との話題に繋がったり仕事に活かされたりすることが多々あった。

例えば現在関係の良い顧客は過去色々あって良くなった、過去値上げがあってこの値段に落ち着いている等、それこそ歴史の授業が必要な様に過去を知ることで現在への理解が深まるのだ。その中で分からないことが出てくれば質問にも繋がった。

会社における仕事のしやすさは知識量に比例するので、来年度以降も強く意識していくべきことだろう。

 

その他意識していることとしては

 

・相手にとって分かりやすい話し方、書き方

・些細なことに興味、疑問を持つ

・人間関係で波風の立たない話し方

 

挙げだすとキリがないが自分のものに出来ていないものがほとんどなので、無意識のうちに実行出来るレベルまで引き上げていかなければならない。

 

4.社会人のしんどさ

「社会人は大変」

社会人がドヤ顔で語る台詞だが、一体全体何が大変なのか。長年感じていた疑問への答えを1年間社会人をやってみてボヤッとながら見つけたように思う。

 

それは仕事ぶり、業績、製品、自分の内面まであらゆるものが仕事をする上で比較されるということだ。

今の仕事であれば自社製品、他社製品との比較、過去からの業績比較、自分と他人どちらが優れているか、数え出したらキリがない。特に内面に関しては常々成長すること、変わることを強いられる為に、周囲から監視されている様な気持ちになることもある。無論、自身の悪い部分は変えていく必要があるのだが…。

 

正直社会はいたちごっこの連続だと感じる。

例えば自分の今いる業界は同業他社が数社しかないのだが、弊社でシェアトップの企業を買収する話が出た時買収すれば独占禁止法に抵触する為、買収を見送ったことがあったらしい。

つまり、競合とは違いが完全に潰れないレベルで実績を取り合う必要がある。

 

就活の時には人と比べないことが精神的に優しい生き方だと感じていた。周りの人の会社と比べて良い悪い、大きい小さいでなく自分にとって合うかどうかが重要という考え方である。

しかし、社会人として生きる為には精神的に優しい生き方を諦めないといけないのか。

ここに関してはまだ答えを出せていないので今後模索していきたい。

 

5.次の1年の心構え

昨年度を簡潔に表すなら、以前ブログに書いていた座右の銘守破離」の内『守』の年だったと言える。

先輩達の様子を常に伺い、話し方から資料から食べるものまであらゆるものを真似し『守る』一年だった。

まだまだ真似て吸収すべき部分はあるのだが、今年度は『破』の年にしていく必要がある。現在意識しているプラスα以上に大きなアレンジを仕事の中へ加えていき、自身の殻を『破って』いきたい。

 

ただ、自分自身が器用でも要領が良いわけでもなく空回りしがちなことを忘れてはならない。(戒め)

ついつい無理しがちなので自分のキャパシティを見失わずコツコツ経験を重ねていく。

 

6.おわりに

配属当初はとんでも無いところに来てしまったと感じていたものの、自由に出張を組むこともでき(出張自体は大変だが色んなところへ行けるのは楽しい)何だかんだ頼りになる先輩もいる何だかんだで恵まれた環境だと感じる。一方で慣れてきたら自由すぎて温い環境なのではという不安もある。

今年1年間常々感じていた緊張感を忘れず仕事も運転も慣れ始めに注意し(運転は特に)、更に濃密な1年へしていく。

 

ではでは。

 

【読書感想文】「カラフル」読んでみた

どうも。

 

コロナ自粛の影響で読書にますますのめり込んでいる23歳です。

読書をするようになって気付いたことが、意外と周りの人読書しているなあということ。

例えばインスタでおススメ本の質問をしてみたら思わぬ人から本を紹介されたり、会社の人と本の話で盛り上がったりと、もっと早くから読書しておけば良かったと思う今日この頃ですが。

 

そんな自分の心に刺さった、後輩からのおススメ本の感想です。

 

 

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

  • 作者:森 絵都
  • 発売日: 2007/09/10
  • メディア: 文庫
 

 

 

【あらすじ】

死んでしまったはずの主人公の魂はひょんなことから生前の罪を思い出す挑戦へ挑むことに。

挑戦の内容は天使ぷらぷらの案内の元人間界にいる誰かの体を借りて人生をやり直す中で、自身の罪を思い出すというもの。

主人公は自殺した少年”小林真”の体に入り込み真として生きることになる。

”小林真”を取り巻く家庭、学校での問題を知り辟易とする真。

周囲の環境を他人事に捉え、ためらうことなく生きる真は様々なトラブルに巻き込まれつつも

周囲からの見方が変わっていく。
1人の友人と出会い、父親、兄、片想い相手、そして母親、彼らとぶつかり合うことで真から周囲への見方もまた変わっていく。

 
本当の真の魂に戻ってきてもらう為、己の罪を思い出そうとする主人公。

そして物語は結末を迎える。

 

※以下ネタバレ

 

【感想】

◯全体への感想

 

等身大な登場人物たちによる、平凡で等身大な物語という印象。

真の周囲の人物は、不倫する母親、利己的な父親、真を邪険に扱う兄、援交をする片想い相手ひろか、といった具合に裏の一面を持っていて真を自殺に追い込んだ訳だが、物語が進む中で彼らなりの思い、等身大の一面が見えてくる。

一方で、主人公真も特別心が脆く自殺してしまった可哀想な少年というわけではなく、両親譲りの性格がまだ未熟だったことと偶然が重なってしまい自殺という選択を取ってしまった普通の少年である。

そんな等身大に生きる登場人物を知ることで等身大な自分自身のことも受け止めたくなる、平凡な自分に寄り添ってくれる物語だと感じた。

 

◯誰しもが変わってて、それがふつう

「この世でもあの世でも、人間も天使もみんなへんで、ふつうなんだ。頭おかしくて、狂ってて、それがふつうなんだよ」

 

引用:森絵都(2007)『カラフル』文春文庫、p.186

美術部に所属する真が、彼の描いていた絵を壊そうとするひろかに向けて話しかけた際の一言。

彼女は、きれいなものが好きな自分と壊したくなる自分、時々残酷になる自分、やさしい自分と意地悪な自分、長生きしたい自分と死にたい自分、相反する自分におびえおかしいと感じていた。

周囲への見方が変わり、人間は色んな面、様々な色を持っていていることが分かってきた真だからひろかを肯定できる訳だが…

 

 

 

染みる。

 

 

 

自分自身、本当の自分のことが掴めず苦しくなる時は多々ある。他の人と違う自分でいたい時もあれば普通でいたい時もある。そんなどちらの気持ちにも当てはまるセリフで心にピタリとはまったセリフだった。

 

他の人の心を覗くことは出来ないが、少なくともこの物語の人物達、自分がぶつかり合った人達は皆、心にきれいな色も汚い色も持っていると感じる。

その色どれもが真実で、世界が色鮮やかで眩しいから目が眩んでしまうけれど、誰もが同じことを感じている、そんな安心感を得られるセリフだ。

 

◯誰もが心に傷を負っている

真だけじゃない。

唱子だけでも、ひろかだけでもない。

この大変な世界では、きっとだれもが同等に、傷ものなんだ。

 

引用:森絵都(2007)『カラフル』文春文庫、p.228

自殺する前の真に片想いしていた女子、唱子が自身の想いの丈を真へぶつけるシーンにて、彼が感じたこと。

真が周囲の人物から傷つけられた一方で、魂が入れ替わり立ち振る舞いが変わったことで唱子も傷ついていたということに彼は気付く。

 

 

人間は常に他人と支え合って生きているために、気付かぬうちに誰かを救っていたりすることがある。

同じように無意識のうちに他人を傷つけてしまうこともあるわけで、理想は他人を傷つけないようにすべきだが完全に無くすことは出来ないだろう。その代わり表面的には隠れている他人の傷へ敏感になり労わる必要がある。

 

また、自分の傷もまた誰かに分かってもらえる筈で被害者ぶる必要はない。心の傷は分かち合うことができるのだ。

 

◯他人事のように生きる

自分の本当の気持ち、本当の色は濃すぎて簡単に他人には見せられない。

その結果、真の家庭ではお互いが思ってることを出せずにすれ違い、真を自殺へと追い込んでしまった。

その後魂の入れ替わった真にとって、小林家の問題は他人事だったために本当の気持ちをぶつけることが出来た。

 

何事も難しく考えすぎる自分にとって、これまた染みる生き方である。

一瞬一瞬の物事を深く真剣に受け止めて反応する、真面目すぎる自分らしい生き方ではあるけれど直感を頼りに伸び伸びと生きることの大切さを感じることができた。

 

◯タイトル「カラフル」の意味

世界も人間も実に色鮮やかで時に眩しく感じる時もあるけれど、あらゆる物が懸命に輝いている。そんな意味が込められたタイトルとなっている。

 

 

この物語の中では、人の心の色がカラフルであることを伝えてくれているが、心の色が増えるのはいつだろうか。

自分は心の傷が増え、傷を乗り越えた時ではないかと考える。

前述の通り誰しもが心に傷を負っている訳だが、傷が多いほど同じ傷を持つ他者へ寄り添うことができるのではないか。傷が多いこと、傷を消さないことは恥ずかしいことではない。

例えば傷だらけのガラスが光を受けて多彩な光を反射するように、負った傷の数だけ心がカラフルになるのでは、と感じている。

 

【終わりに】

この本を読んでまず感じたことが、もっと早くにこの本を読んでいれば良かったという後悔である。

 

主人公もまた物語の中で様々なことを後悔しているが、一番の後悔は自殺でありそれ以外のことはおおよそ取り返しをつけることが出来た。つまり死ぬこと以外はリカバリーがきくということ。

 

私が日ごろから心がけていることがある。

自分が興味を持ったものには全速力で臨むということだ。

新しい情報に疎く、一つのコンテンツに出会うまでは他の人と比べて遅い自分だが、気付いてからの行動力は誰にも負けない自信がある。

気付いた時が人生の中で一番早いタイミングであり、もっと早くに…と感じた分だけ全力でのめり込むことで取り返せないことはきっとないはずだ。(個人の感想です。)

 

もっと早くに読書していれば、そう感じた分だけ読書を重ね様々な物語の色に触れたいと思う一冊でした。

 

ではでは。

 

【読書感想文】『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』読んでみた

アンドロイドと人間、何が違うか尋ねられた時あなたはどう答えますか?

 

 

 

 


どうも。


タイトルの本、名前だけなら聞いたことがある人は多いのではないだろうか。かくいう自分もそのうちの1人だったが、偶然本屋で巡り合わせたので読んでみた。


読み始めて最初に感じたこと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


難しい…

 

 

文章的にも内容的にも複雑で、じっくり時間をかけて読み進めていかなければならなかった。

しかしその結果として、この本の深みを感じることができたので感想を残していきたい。

 

※以下ネタバレあり


⚪︎あらすじ


第三次世界大戦後、放射能灰に汚された地球が舞台。放射能灰の影響で多くの生物が絶滅or絶滅危惧状態となっている。

その為殆どの人間は火星へ移住、アンドロイドが労働力として酷使されている訳だが、過酷な労働環境ゆえに火星から逃亡するアンドロイドも多々いる。

 

主人公の1人リックは逃亡したアンドロイドを処分する警察官(賞金稼ぎ)。ある時火星から8体のアンドロイドが逃げる事件が発生、2体は早々に破壊されたものの6体が逃走しリックが追うこととなる。

「フォークト=カンプフ検査法」(アンドロイドと人間を区別する検査、後述)を駆使して順調にアンドロイドの破壊を進めるリックだがアンドロイドメーカーの幹部アンドロイド、世界的オペラ歌手のアンドロイド、リックと同じくアンドロイドを追いかける警察官、様々な出会いの中でアンドロイドを破壊することへ疑念を抱くようになっていく。


もう1人の主人公イジドアは放射能灰が原因で脳に障がいの残ってしまった男。逃走しているアンドロイド3体はイジドアの住む廃墟マンションに逃げ込み、イジドアと鉢合わせてしまう。彼らがアンドロイドだと気付くも通報することなく受け入れるイジドア。


2つの視点が1つの視点になり物語は結末を迎える。

 


⚪︎考察

①タイトルの意味

あらすじにある通り作中の世界では生存している動物が少ない。人々は生きている生物を持つことに憧れているが、高値で取引されているため購入出来ない人はアンドロイドの動物を所有している。そのように人間は羊を所有する、飼育する「夢」を見ている。


それに対比して、アンドロイドは人間と同様電気羊を飼う「夢」を見るか、人と同じ心を持つかということを問いかけるタイトルになっている。


②アンドロイドと人間を区別する「フォークト=カンプフ検査法」

あらすじにある検査、アンドロイドと人間は見た目では区別がつかない為共感性を調べる心理テストのような検査が行われる。


例えば、「自分の夫、妻が、大きな熊の毛皮に寝そべった異性のヌード写真を気に入り部屋に飾った」という問いを被験者に投げかけた場合、アンドロイドは夫、妻への怒りを見せる。だが、この世界の人間なら熊の毛皮という部分に対して感情が揺れ動くといった様子を機械で計測し判断される。


この検査、人間には共感性がありアンドロイドは共感性がないという前提のもと成り立っている。では共感性のない人間はアンドロイドなのか。

作中の中でもその問題は取り上げられており、感情の有無で人間とアンドロイドは区別できるという私たちの固定概念をぶっ壊しにきている。


このブログの冒頭、あなたならどう答えますか。


③荒廃した世界の宗教「マーサー教」

マーサー教とは、主人公の妻や主人公の1人イジドアが信仰している宗教。


宗教の教えとしては、共感ボックスという装置を通じて教祖や信者と一体化苦しみや喜び、悲しみを共有し精神的に誰かと結びつくことで自己が確立される、自分の存在価値を見出すことができるというものになっている。


主人公の妻は特にこの宗教へ肩入れしているわけだが、夫のリックがアンドロイドを破壊した賞金で生きた山羊を購入し帰宅した際、疲労困憊な彼への気遣い、共感なく山羊を得た喜びをマーサー教の信者と共有しようとした。


宗教に囚われた共感は本当の共感なのか、共感とは何なのか、共感することで何が得られるか読者に考えさせる役目を担っている。

 


⚪︎感想

海外の小説を日本語訳しているため、日本の作品とは文章の雰囲気が異なり、読みにくさはかなりあるものの新鮮な気持ちで読むことができる。

作品の意味合いを深く考えずとも物語として面白く、非常に引き込まれる内容となっている。


物語全体からは、アンドロイドと人間の違いに関する問いかけがあちこちへ散りばめられていると感じた。


特に強調されているのが共感性という言葉。本作では共感性の有無で人とアンドロイドを区別するが、共感性の薄い人はアンドロイドなのだろうか。例えば、主人公の1人イジドアは動物病院へ勤務しているが、病気の猫を預かった際容体が急変し死んでしまったことがあった。その後猫の持ち主へ電気猫を飼うことを勧めており共感性に難があることが伺える。自分自身他人の気持ちに共感したり推し量ったりすることが出来ないがアンドロイドではない。(多分)

 

私が本作を通じて感じたアンドロイドと人間の違いは、「誰かに心を込めて何かを施せるか否か」である。


具体的に、作中の中で人間は生物を育てることができるがアンドロイドが生物を育てようとしても愛情が伴わず上手くいかない、施しを与えることができない。

また、上記の通り共感性に難のあるイジドアだが逃走してきたアンドロイドの為に部屋を片付ける等心を込めて施しを行った。その一方で、アンドロイド達はイジドアを手伝うことなく無表情な顔で見守っていた。


作品の中で人間は、イジドアの例だけでなく共感性の薄い人間がペットへ愛情を注ぐ等、共感性の有無に関わらず相手を思いやり、何かを施すシーンが記載されてきた。一方のアンドロイドは利己的、自分本位な部分が書れており、誰かに何かを施す一面は見られなかった。

友人、ペット、家族、恋人、誰かに何かを施す時、相手へ共感出来るか等の理由は必要ないものである。その様な心からの施しが出来るのは人間の良さであり大事にしていきたいものだと感じる。

 

この作品ネットの考察記事を見ると皆考察が異なるように人によって受け取り方が変わる作品である為、何が正解か全く分からず軽い気持ちで感想を書き始めたことを非常に後悔している。

 

 

 

最後に、冒頭のアンドロイドと人間の違いについて聞かれた時、殆どの人は「人間は感情があるがアンドロイドには感情がない」と答えるのではないだろうか。


自分だけの答えを見つけたい人には是非とも読んでいただきたい。

 


ではでは。

【読書感想文】後輩の同人本を読んだ件

どうも。

 

以前ブログに登場した後輩Tだが、その後輩根っこから腐敗したオタク(意味深)であり去年から同人活動を行なっている。最近ようやくTが初めて刊行した同人小説を購入できたのだが、クオリティがバチバチに高く色々と感じたことがあったので感想を残しておこうと思う。

 

○元ネタ

KING OF PRISM by PrettyRhythm

KING OF PRISM -PRIDE the HERO-

『KING OF PRISM -Shiney Seven Star-』

 

上記3作品に登場する香○美タイガ十○院カケルというキャラクターが元ネタ。彼らは同じ寮で共同生活をしている。

作品の内容をザックリ説明すると、フィギュアスケートと歌が融合したプリズムショーを通じてキャラが成長する物語で、男性でも存分に楽しめるアニメである。

尚アニメではショーが見所なのだが、今回の本の中でキャラクターがショーをすることはない。(落胆)

 

『花吐き病(嘔吐中枢花被性疾患)』

今回の本で登場するキャラが掛かっている病。

元ネタは"花吐き乙女"という漫画に登場する病気。

片想いを募らせた結果感染する病であり、口から花を吐き出すといった症状。また吐き出した花を触れた相手に病が感染する。完治するには意中の相手と両想いになるしかなく、完治した際白銀の百合を吐き出す。

非常に完成された設定で、初見時元ネタを知らなかった私は「T天才やん!!!!」とひっくり返ってしまった。

 

○あらすじ

季節は春。

花見の場所取りをしていたタイガとカケルだが、たわいも無いはずの会話の中でタイガはカケルの美しさ、底知れなさに惹かれてしまう。

花吐き病になるタイガだが、禁断の恋は墓場まで持っていくことを決意。

しかし、運命の悪戯かカケルはタイガの吐いた花に触れ花吐き病に感染してしまう。

両者共に花吐き病へ苦しめられる中、寮長の助言を受けカケルの部屋に入ったタイガはカケルの吐いた花を見つけてしまう。

失恋を確信したタイガと部屋に入ってくるカケル。

互いの本心を知り唇を重ねた二人の口元から百合の花が落ちていった。

 

○感想

まず全体への感想として、儚くてしっとりとした、花のように甘いラブストーリーだという印象を受けた。単純に、二人の切ない恋が不安定ながらも成就するというストーリーの甘さに加えて、繊細で脆い二人の心情の美しさ、幾度となく登場する花が混ざり合って一つの作品となっている。

 

キャラクターの描写では、愛を知らない筈だったカケルの心境の変化が手に取るように伝わってきて、彼が本当にそうやって「愛」へ気付きそうだと思える。

 

一方、タイガはひたすらに純真で純粋で純潔な姿、心を描写しているように感じられ、無垢なタイガが好きだというTの叫びが聞こえてきた。

 

また、花吐き病の設定を存分に使いこなしていると感じた。各シーンに見合った花言葉の花を吐き出すのが非常にお洒落。自分は花言葉に無知なので、都度調べながら読んでいたのだが、それぞれの意味がハマりすぎて「アァーーー」しか言えなくなる。各シーンの奥行きがひたすらにマシマシだった。

それに加えてこの本の中での花吐き病は、好意を向けられると興味のない相手であってもどこか気になってしまう恋愛テクを表現しているように感じられた(深読みしすぎるオタク)。

 

細部への感想では、まず表紙。

単純に絵のレベルが尋常じゃなく高いことに加え、二人の表情が絶妙に儚くてただただエロい(性的な意味ではない)。読んだ後なら分かる、意味が込められた表紙の花々もまたエロい(性的な意味ではない、大事なことなのでry)。

そして薄紫の遊び紙。恥ずかしながら初見時は遊び紙という言葉自体知らず、そこに秘められた意味を気付くことが出来なかったが、別の同人本を読んだ際遊び紙にも意味が込められていることをTから教示頂き、今回改めてこの本を読んだことでその良さに気付くことが出来た。この薄紫というのが絶妙にピンクと紫の中間にある様な色で、色々な花の叫びが込められていると感じる。自分自身、赤と青を混ぜて出来る紫という色は最も好きな色であり、薄紫の遊び紙がこの物語の全てを象徴している。

 

本文では、エデロの寮の描写が非常に鮮明だと感じた。タイガの木や食堂が登場することで寮の様子が想像しやすくなるだけでなく、設定集に載っているというカケルの部屋についても容易に想像出来る等丁寧に描写されていた。

 

筋トレの描写はT自身の部活での経験が込められてそうで非常に良き。(またトレーニングしような)

 

各キャラクターの掛け合いはどれも実際に在りそうと思えるレベルでピッタリだった。その中で個人的に好きなのはカケルとミナトの会話。ただのススス14話。「一粒の心配と不安を」の文章がエry。

 

そして、花を吐き出す描写が素晴らしかった。

花を吐き出すというのは想像するだけで苦しいものであり、実際液体を吐くだけでも大変だ。ましてや好きなキャラにそんな辛い思いをさせるシーン、本来なら避けたくなる様に思えるがこの本ではリアルに描写されており読んでいる自分が苦しくなる程で、闇の腐女子の深淵を垣間見ることができた。

 

まだまだ書き残しておきたいことは山ほどあるのだが、記事作成時間が4時間を超えたためとりあえず感想はこの辺りにしておく。

 

最後に、初BLではあったものの文章の巧みさと物語の柔らかな雰囲気により甘いラブストーリーとして抵抗感を微塵も感じることなく読むことができた。

総じて素晴らしい作品だった。

 

また、こうして読み直したことで遊び紙の意味や、Tの真の趣味嗜好とは全く異なるストーリーで、故に少し冷静で丁寧すぎる程丁寧な文なのだと感じることが出来た。(初めての本は万人受けする本を、という計画だったらしく末恐ろしい)

 

感じたことを感じたまま残すという、当ブログのモットーに沿った文を吐き出せたように思うので2冊目、3冊目についても今後残せればと思う。

 

ではでは。