【読書感想文】後輩の同人本を読んだ件

どうも。

 

以前ブログに登場した後輩Tだが、その後輩根っこから腐敗したオタク(意味深)であり去年から同人活動を行なっている。最近ようやくTが初めて刊行した同人小説を購入できたのだが、クオリティがバチバチに高く色々と感じたことがあったので感想を残しておこうと思う。

 

○元ネタ

KING OF PRISM by PrettyRhythm

KING OF PRISM -PRIDE the HERO-

『KING OF PRISM -Shiney Seven Star-』

 

上記3作品に登場する香○美タイガ十○院カケルというキャラクターが元ネタ。彼らは同じ寮で共同生活をしている。

作品の内容をザックリ説明すると、フィギュアスケートと歌が融合したプリズムショーを通じてキャラが成長する物語で、男性でも存分に楽しめるアニメである。

尚アニメではショーが見所なのだが、今回の本の中でキャラクターがショーをすることはない。(落胆)

 

『花吐き病(嘔吐中枢花被性疾患)』

今回の本で登場するキャラが掛かっている病。

元ネタは"花吐き乙女"という漫画に登場する病気。

片想いを募らせた結果感染する病であり、口から花を吐き出すといった症状。また吐き出した花を触れた相手に病が感染する。完治するには意中の相手と両想いになるしかなく、完治した際白銀の百合を吐き出す。

非常に完成された設定で、初見時元ネタを知らなかった私は「T天才やん!!!!」とひっくり返ってしまった。

 

○あらすじ

季節は春。

花見の場所取りをしていたタイガとカケルだが、たわいも無いはずの会話の中でタイガはカケルの美しさ、底知れなさに惹かれてしまう。

花吐き病になるタイガだが、禁断の恋は墓場まで持っていくことを決意。

しかし、運命の悪戯かカケルはタイガの吐いた花に触れ花吐き病に感染してしまう。

両者共に花吐き病へ苦しめられる中、寮長の助言を受けカケルの部屋に入ったタイガはカケルの吐いた花を見つけてしまう。

失恋を確信したタイガと部屋に入ってくるカケル。

互いの本心を知り唇を重ねた二人の口元から百合の花が落ちていった。

 

○感想

まず全体への感想として、儚くてしっとりとした、花のように甘いラブストーリーだという印象を受けた。単純に、二人の切ない恋が不安定ながらも成就するというストーリーの甘さに加えて、繊細で脆い二人の心情の美しさ、幾度となく登場する花が混ざり合って一つの作品となっている。

 

キャラクターの描写では、愛を知らない筈だったカケルの心境の変化が手に取るように伝わってきて、彼が本当にそうやって「愛」へ気付きそうだと思える。

 

一方、タイガはひたすらに純真で純粋で純潔な姿、心を描写しているように感じられ、無垢なタイガが好きだというTの叫びが聞こえてきた。

 

また、花吐き病の設定を存分に使いこなしていると感じた。各シーンに見合った花言葉の花を吐き出すのが非常にお洒落。自分は花言葉に無知なので、都度調べながら読んでいたのだが、それぞれの意味がハマりすぎて「アァーーー」しか言えなくなる。各シーンの奥行きがひたすらにマシマシだった。

それに加えてこの本の中での花吐き病は、好意を向けられると興味のない相手であってもどこか気になってしまう恋愛テクを表現しているように感じられた(深読みしすぎるオタク)。

 

細部への感想では、まず表紙。

単純に絵のレベルが尋常じゃなく高いことに加え、二人の表情が絶妙に儚くてただただエロい(性的な意味ではない)。読んだ後なら分かる、意味が込められた表紙の花々もまたエロい(性的な意味ではない、大事なことなのでry)。

そして薄紫の遊び紙。恥ずかしながら初見時は遊び紙という言葉自体知らず、そこに秘められた意味を気付くことが出来なかったが、別の同人本を読んだ際遊び紙にも意味が込められていることをTから教示頂き、今回改めてこの本を読んだことでその良さに気付くことが出来た。この薄紫というのが絶妙にピンクと紫の中間にある様な色で、色々な花の叫びが込められていると感じる。自分自身、赤と青を混ぜて出来る紫という色は最も好きな色であり、薄紫の遊び紙がこの物語の全てを象徴している。

 

本文では、エデロの寮の描写が非常に鮮明だと感じた。タイガの木や食堂が登場することで寮の様子が想像しやすくなるだけでなく、設定集に載っているというカケルの部屋についても容易に想像出来る等丁寧に描写されていた。

 

筋トレの描写はT自身の部活での経験が込められてそうで非常に良き。(またトレーニングしような)

 

各キャラクターの掛け合いはどれも実際に在りそうと思えるレベルでピッタリだった。その中で個人的に好きなのはカケルとミナトの会話。ただのススス14話。「一粒の心配と不安を」の文章がエry。

 

そして、花を吐き出す描写が素晴らしかった。

花を吐き出すというのは想像するだけで苦しいものであり、実際液体を吐くだけでも大変だ。ましてや好きなキャラにそんな辛い思いをさせるシーン、本来なら避けたくなる様に思えるがこの本ではリアルに描写されており読んでいる自分が苦しくなる程で、闇の腐女子の深淵を垣間見ることができた。

 

まだまだ書き残しておきたいことは山ほどあるのだが、記事作成時間が4時間を超えたためとりあえず感想はこの辺りにしておく。

 

最後に、初BLではあったものの文章の巧みさと物語の柔らかな雰囲気により甘いラブストーリーとして抵抗感を微塵も感じることなく読むことができた。

総じて素晴らしい作品だった。

 

また、こうして読み直したことで遊び紙の意味や、Tの真の趣味嗜好とは全く異なるストーリーで、故に少し冷静で丁寧すぎる程丁寧な文なのだと感じることが出来た。(初めての本は万人受けする本を、という計画だったらしく末恐ろしい)

 

感じたことを感じたまま残すという、当ブログのモットーに沿った文を吐き出せたように思うので2冊目、3冊目についても今後残せればと思う。

 

ではでは。